A)象牙質の柔らかい感染歯質は全て取り除きましょう。(今回は象牙質にまで達する虫歯で歯髄と交通していないケースをご説明いたします)
象牙質は虫歯に感染すると、変色し、柔らかくなります。一方で、外側を覆っているエナメルは柔らかくはなりません。そのために、外側が硬いが内側は感染して柔らかいことが多いです。
雪国のカマクラみたいなイメージです(カマクラの中は意外と暖かく快適ですよね)
感染象牙質は柔らかい場合が多く、タービンでも5倍速でも、容易に削ることができます。
しかし、トルクがある切削器具だとどこまででも削れるので、深い虫歯の場合、歯髄の髄角が見えてしまう、すなわち露髄を引き起こす場合があります。
ではどこまで削ればいいのでしょうか?
柔らかい変色してる部分を、ある程度取り除いた後には、私はエキスカベーターを使用することをお勧めしています。
ひまわり歯科ではマイクロスコープ用の小さなマイクロエキスカベーターが用意してあります。
エスカベーターにて慎重に感染象牙質を取り除くと、やがて硬い層に当たることがあります。(歯髄に交通していないケース)
硬い層が出てきたら、その層を慎重に温存しながら、残りの柔らかい層を、できる限り取り除きます。
私はう蝕除去をする際は、この硬さを一番の参考にしております。
経験の浅いうちはこれを繰り返すことで、どのあたりまで歯質を取り除くべきかが身に付いてきます。
そして、デンタルエックス線写真を用いて、どの部分に髄角が出ているのかを予想します。そうすれば、おのずと相当部位を削る時は注意することができます。
また、う蝕検知液を使用する場合もあります。
20年前、私の学生時代は濃染部を削合すると習いました。そして、下記のう蝕第一層の先駆菌層相当までを除去するとありました。
(第一層)
多菌層
寡菌層
先駆菌層
←ここまでできる限り取り除く
(第二層)
混濁層
透明層
生活反応層
このデンタル写真の撮影や、う蝕検知液は少々手間がかかります。しかし、経験の浅いうちは、出来る限りトライしてください、様々な情報が得られます。
様々な情報から、予想がつきます。
その後、蓄積した経験に頼っていけば良いのです。
残した象牙質は固いのですが、そこは非常に歯髄に近いところになりますので、覆とう材をライニングして、補綴処置の準備に入ることになります。
まとめますと、原点に戻り(アナログではあるが
)歯髄に近いところはエキスかベーターを積極的に使用する。
デンタルエックス線写真や、う蝕検知液をスキルが浅いうちは積極的に使用する。
これにより、、、
無駄な露髄を防ぐ。
エキスカだと切削熱が少なく、術後歯髄充血を防ぎ、術後疼痛が少ない。
切削しすぎないので、象牙質が残せる、結果しみるといった症状が出にくい。
以上が私の術式の一つになります、まだまだお伝えしたいポイントやテクニックなどはありますが、今回はこれぐらいにしたいと思います。
色々なご意見があると思いますが、ご理解下さい。
皆さんのカリエス処置が、より一層、精度が高まることをお祈りいたします!